建物や土地などの所有者が死亡して相続が発生した場合に、その不動産の名義を変更する手続きを相続登記といいます。
法的には不動産の登記は義務ではないので、この変更手続きを行わず放置しておいても罰則等はありません。
しかし現実的には様々な問題が起こってくる可能性があります。
まず、相続した人がその不動産を売却したくても名義が変更されていないと売ることはできません。
また、長期間にわたって放置していると相続人が増えたり変更が生じたりして名義変更が複雑になることも考えられます。
不動産の名義変更を行うには相続人全員の同意が必要となるからです。
そして権利者が増えるということは、遺産分割協議がすんなりとまとまらないおそれも出てきます。
一度は遺産分割に同意した人が後日翻意するという事例も珍しいことではありません。
こういう事態を避けるためにも、やはり早めに相続登記を行うべきでしょう。司法書士などの専門家に相談するのも安心かと思います。
私の場合、祖父が亡くなって、父や伯父とも話し合い、孫である自分が、祖父が生前所有していた自宅や畑、山林などすべてを受け継ぐことになりました。
でもただ受け継ぐだけでは完全に相続をしたとは言えないです。相続登記をする必要があります。
その代わり、固定資産税など祖父が全て負担していた費用などは自分に降りかかってくるのです。
不動産を受け継ぐと言うのはこういうことなのだなとつくづく痛感しました。
しかし、いざ相続をすることになると普通に名義を換えるだけではできないことがわかりました。
自分で行うこともできると聞いていたのですが、その手順が非常にややこしくて、役所や法務局などに出向かないといけないのが非常に面倒ですし、それに手順を間違えてしまうと不動産を受け継ぐことができません。
そこで、こうした登記手続きに関して司法書士事務所に依頼することとなりました。
登記の手続きは、まず父と伯父との間での遺産分割協議書を添付して、父単独の名義に「相続」を原因として所有権移転登記します。そして、父から私に「贈与」を原因として、やはり所有権移転登記をするという方法でしました。
父から私に贈与の手続きをすると、私は贈与税を納める必要があります。しかし、今回は、贈与税はかかりませんでした。それは、税務署に相続時精算課税制度選択の届け出というものを提出したからです。この相続時精算課税制度というのは、生前贈与した財産の価額と相続財産の価額との合計額を基に相続税を計算して、そこから、生前贈与について既に納めた贈与税額を控除し、納税を行うという制度です。この制度を選択した場合には、贈与税については2500万円までの特別控除額が受けられるため、今回の土地や建物の路線価の総額であれば、贈与税はかからなかったというわけです。