2014年5月アーカイブ

相続放棄や相続税の申請とは違い、相続登記には期限が存在しません。よく、相続開始から3ヶ月以内にしなければいけないとか、10ヶ月以内にしなければいけないなどと勘違いされている方がおられますが、「3ヶ月以内」というのは相続放棄の、「10ヶ月以内」というのは相続税の申告と混同されているのでしょう。相続登記には、不動産登記法にも、期限の定めはありません。
しかし一方で、登記を怠っていたゆえに起こるトラブルが存在します。
それが不動産を売却する時です。
不動産が自分のものであると主張するのに必要なのが不動産登記ですが、名義を変更していない場合はもちろん売却はできません。
なので相続登記を放置している人の中にはこの時(売却時)になって登記簿変更をしようとする人もいますが、状況によってはややこしい事になっているケースがあります。
たとえば、数代前から相続登記が行われていなかった場合です。
最初はAとBのふたりが相続人でも、時間が経過してBが亡くなってその遺産を子供達であるCとDが相続したのなら、彼らにも土地の権利があります。
こんな具合に時間がたてばたつほど相続に関わってくる人が増えていくので、まず誰の了承をとればいいのかを確認するのも大変になってきます。
ですが逆にいえば、不動産を譲り受けた時点で手続きをしておけばこれらの労力は最小限に抑えられることが可能です。
また名義変更で必要な、実印や印鑑証明も集めやすいメリットもあります。
実は、建物や土地の管理が放棄されて、建物の倒壊など、周囲に危険が及ぶような状態になっている不動産の多くは、上記のような経緯で相続人に相続が発生して、数百人の相続人が共有している状態となっているのだそうです。このような状態になれば、その不動産の周囲の人にも、知らない間に不動産を相続したこととなっている子孫にも迷惑がかかることとなります。このようなことを避けるためにも、相続登記はできる間に済ませておくべきであるといえるでしょう。

不動産の相続で問題が発生し、トラブルに発展するケースが増えています。
預貯金や株式、美術品等とは違って、不動産は分割しにくいという側面を持っているためです。
不動産を巡る評価方法も、固定資産評価額や時価、路線価などさまざまな評価の方法があり、相続人ごとに正当と感じる評価の方法が異なることもありますので、大なり小なり揉め事が発生しやすいと言えます。
相続登記は放置せず、相続人全員の合意ができれば、すぐに登記をしてしまうに限ります。ところが戸籍や遺産分割協議書など必要な書類、手続きの流れについて、素人では分かり難い面が多々あります。
不動産の相続登記の手続きは自分で行うこともできますし、法務局の登記相談窓口でのサポートを受けながら行うことも可能です。どちらがよいのか関しては、その状況によってことなります。
法定相続分通りに登記する場合など、比較的簡単なケースでしたら、自分でやってしまったほうが安上がりかもしれませんね。
自分で行う場合には、相続登記申請書、登記原因証明情報、住民票、固定資産評価証明書などの書類を準備しておく必要があります。
必要書類をそろえて、管轄する法務局へ所有権移転登記の申請をおこないます。
申請の期限は特に決まっていませんが、できるだけ早めに対応しておいたほうがよいでしょう。
時間が経ってから行うとなると、住民票などの保存期間が過ぎてしまい、通常の手続きの場合には必要のない、「上申書」や「登記済権利証」が必要となるなど、より手続きが難しくなってしまう場合があるので注意が必要です。不動産の相続の手続きが複雑になりそうな場合には自分で行うよりも、登記の専門家である司法書士に任せてしまったほうが楽かもしれません。
ただし、遺産分割協議がまとまらない場合には、司法書士ではなく、弁護士に相談するべきです。
また、建物表題登記のない不動産についての相続手続きについては、建物図面を添付して建物表題登記を申請する必要があります。このような手続きは土地家屋調査士という専門家に依頼した方がいいでしょう。
専門家に依頼すると費用がかかってしまいますが、確実に行うことが出来るので安心感があります。司法書士を探すのであれば、こちらの司法書士会連合会の「司法書士・司法書士法人検索」が役立ちます。司法書士の氏名、事務所所在地、電話番号などが登録されていますので、お住まいや勤務先の司法書士を探すことができるでしょう。