遺産分割協議と寄与分について

家族が亡くなり相続が発生すると、残された財産を相続人の間で分けることになります。
現金や預貯金、株式などの有価証券、土地建物やマンションなどの不動産もあります。
現金はそのまま分けることもできますが、預貯金は遺産分割による請求が必要で、株式は名義変更、土地や建物は相続登記をしなければなりません。
相続が発生した場合、遺産分割が行われるまでは、全ての相続人の共有という状態にあります。
この時点で亡くなった方の所有から、すべての相続人の共有という状態になっており、本来は共有の相続登記が必要です。
もっとも、実際にはこの段階で手続きをする人は少なく、遺産分割協議によって取得する人が決まった段階で手続きするのが一般的です。
ですが、この手続きもしないまま、放置してしまう人もいます。
特に従前通り、その土地や建物に家族として暮らしている場合、自分たちが所有しているのだからと気にしない方もいます。
しかし、いざ売る段階になったり、さらに相続が発生した場合、面倒なことになりますから、早めに相続登記をするのが賢明です。
相続登記をするためには遺産分割協議をまとめることになるのですが、この協議においてしばしば問題となるのが、相続人の一部が被相続人の療養看護に努めたような場合の寄与分についてです。
民法では、遺産分割協議の際には、故人の生前における財産の維持や増加、あるいは上記のように故人を療養看護した場合などには、その後見があったものについては貢献度を考慮して相続分を増加させるべきものとされています。
この寄与分が問題となることがよくあります。寄与分は、通常の家事労働などがあった場合には、認められません。あくまでも、特別の寄与が必要です。通常の子の扶養義務(民法877条1項)の範囲内の寄与では相続分の増加は認められません。
子供が無給で親の事業のために尽力した場合などには、寄与分が認められる可能性があります。ただし、寄与分が認められるのは、法定相続人に限られます。たとえば、内縁の妻や、相続人の妻などがいくら故人の介護に尽力していたとしても、寄与分は認められないので注意が必要です。

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